自宅にスロープは必要なの?~スロープが必要になる時ってどんな時?設置の際の注意点は?~

外構リフォームでよく依頼があるスロープ。
スロープとは段差を緩やかな傾斜の道で上り下りするもので、依頼理由の多くは家族の高齢化のため安全に負担なく段差を行き来したいというものが大半です。
公共施設などではバリアフリー化が進み当たり前に見かけるようになったスロープですが、一般の自宅ではまだ馴染みがありません。
ほんとに必要なのか、自宅につけられるのか、つけた後後悔しないかなど迷っている人もいると思います。
そこで、今回はスロープの必要性と設置の際の注意点、についてお話します。

目次1.なぜスロープが必要なのか
2.スロープ設計のポイント
3.まとめ

1.なぜスロープが必要なのか

なぜスロープが必要なのでしょうか?
スロープの必要性や利便性について理解しておくと納得のいくリフォームをすることができます。
スロープの必要性と利便性について見ていきましょう。

1-1.高齢化による必要性

高齢化が進む日本では、公共施設ではスロープの設置や手すりの取付などバリアフリー設計が当たり前になっています。
自宅でも床に段差のない設計にしたりとバリアフリーを取り入れる家庭も増えています。
自由に過ごしたい自宅でちょっとした段差がある事が負担となって外出が億劫になったり、誰かの助けがなくては移動が困難になってしまっては精神的なダメージも大きくなります。
スロープを取り付けることで足運びが楽になり、車いすで移動するなど自力での移動がが可能になります。
年をとっても毎日イキイキと過ごすために自分でできる環境を整える事は本人にも介護する側にとっても重要です。

1-2.ケガ防止のため

スロープは階段に比べてケガのリスクが減ります。
階段は足を乗せるスペースも限られますし、一歩一歩異なる段に足を乗せるので不安定でバランスを崩しやすくなります。
歩幅も自分の歩幅ではなく設置された階段に合わせて足を動かさなくてはなりません。
その点、スロープは自分の歩幅で両足をついて上れるので安心です。

2.スロープ設計のポイント

2-1.勾配はスロープの要

スロープを設計する時に勾配はとても大切な要素です。勾配とはスロープの傾斜角度の事です。
勾配でスロープの必要な長さが決まり、どれだけのスペースが必要なのかが来まります。
また、傾斜がきつすぎるとせっかくスロープをつけても体への負担が大きくなり自力で上れなくなってしまいます。
バリアフリー法で定められている勾配の基準は屋内で「1/12」屋外で「1/15」とされており、それ以上の勾配のスロープには手すりを付けることになっています。
「1/15」のスロープ勾配とは1cmの高さの段差を上り下りするのに15cmの長さのスロープが必要という意味です。
自走式の車いすの場合、自力で上れるのは「1/12」勾配までと言われ、それ以上の勾配の場合介助者のサポートが必要となります。
目安として一般に階段1段の高さは15cm程度なので階段1段に付き225cmの長さのスロープが必要になります。
スロープを設置するにはそれだけのスペースが必要です。段差が高くなるにつれスロープの長さも長くなります。
まっすぐにスロープが取れない場合は折り返して作成するのどの工夫もできますが、敷地の条件によっては設置できないケースもあるのでまずはどれくらいの長さのスロープが必要なのか確かめましょう。
スロープの設置が難しい場合には無理に設置する必要はありません。仮説のスロープや昇降機を利用したり、車を玄関先まで移動できる様工夫するなど自宅の事情に合わせて専用の器具の導入や方法をプロと相談して決めましょう。

2-2.幅で使い勝手が変わる

スロープの計画の際に勾配と同様に重要なのがスロープの幅です。
一般家庭で車いすの利用のためにスロープを設置すす場合、最低でも90cmの幅が必要とされています。
公共施設などでは人同士がすれ違うことを想定して130cm~150cm程度の幅で設計されていますが、自宅では人とのすれ違いはほとんどないので90cm確保できれば良いでしょう。
ただ、手すりを設置する場合には余裕を持って幅の設定を行いましょう。

2-3.安全対策を忘れずに

スロープで段差は解消されますが、スロープを歩行で上り下りするには支えが必要です。
転倒、転落防止のためにも手すりの設置が望ましいでしょう。
また、車いすの車輪がスロープから脱輪しないようにスロープ側面に立ち上がりを設けると良いでしょう。
雨が降ったときなど水はけがよく足元が滑りにくい素材を選択することも大切です。

3.まとめ

高齢化が進む日本ではスロープは心身ともに健康な生活を送るために必要なものです。
しかしスロープを作成するには相当なスペースが必要です。自宅の高低差や敷地の大きさなど条件によっては設置できないケースもあるのでしょう。
設置できない場合は無理に設置せず、福祉用具の専門家や外構専門店に相談をして各家庭の事情にあった方法を紹介してもらいましょう。

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